a Diary: 日記

きょうのひとこと

創造すること。それは闇の中で目を凝らすことである。根気強く、執拗に、それどころか不遜なまでに。時には不安にかられて立ち止まったり、逡巡することもあるだろうが、そこでくじけてしまったならすでに自分が知っていることだけで終わってしまう。アカデミズムが頭をもたげるのは、そうした瞬間だ。たとえ確実な何かをそこに求めようとしても、思考の根源ではなく、むしろ思考せざる者の杖にしかならない。つまりは不安の逃げ場となるわけだ。

冒険とは、道を誤ることである。そこには危険がつきまとう。確実な道を歩みたければ、先人がたどった道を通えばよい。だが、それは冒険ではない。

真っ暗な部屋に入ると、しばらくして闇に目が慣れてからようやく見えるようになる。それは物理的な反応だが、実は精神もまた、そのように順応する。そして、創造の瞬間はそこから始まるのだ。

(中略)

現実には、新しい発想というものは天才にしか成し得ない孤絶した表現ではないし、詩神(ミューズ)が耳元でささやいた言葉でもない。それは、これまで重ねられてきたあらゆる追求と実験の末に導き出された結果の産物、ガリレオの言葉を借りるなら、記憶の「試行錯誤」なのである。しかもそれは、追求の中から自然に発露するものであるため、それが生まれる瞬間を見定めることは至難の業である。

これは、私が「創造」という神話から我が身を解き放つために自己と戦う中で導き出した考察である。芸術家とは、「天分」を授かった人間の謂れではない。技術(テクネー)を習得した人間、そして自らの目標、つまり芸術に到達するためにそれをあやつる者である。

レンゾ・ピアノ

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