サムライ  ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生

いかにして100万円でインディーズ映画を作るか
ウディ・アレン バイオグラフィー    

ここに書かれたいくつかの断片はすでに「世界の映画作18犯罪・暗黒映画の名手たち」(キネマ旬報)の「メルヴィル小伝と作品回顧」に取り上げられていた。本書に書かれていない河原畑寧氏のメルヴィルインタビューも読めるので併せて読むことをお薦めします。

メルヴィルについてもっとも大切なことは、フィルムノワールの旗手だとかヌーヴェル・バーグの精神的叔父ということではなく、自分の映画のために撮影スタジオを作ってしまった世界でも稀有な独立映画製作者だということだ。なぜそんなことができたのかは、本書では明らかにはなっていない。まあいくつかの推測はできるが、メルヴィルと名乗った理由を含めてもう少し傍証が揃ったら書きます。

読んでいてわかるのは非常に大人な発言をするねえというのが第一の感想。聞き手の若い映画評論家のシネマテーク史観を1930年代のアメリカ映画からリアルタイムで観ているキャリアで吹き飛ばす。「アメリカ映画について君と私の意見が対立したとしたら、正しいのは私だよ!」彼の映画と映画作りに対する率直な意見はいまもまったく古びていない。

もう少しフランス映画や現代史についてきちんとした解説があるとよりわかりやすくなったのに、昔ながらの短い原註と訳註の列記だけなので、もう少し工夫が欲しい。半端な対談などを載せる前に。

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サムライ  ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生” への2件のコメント

  1. はじめまして。
    私もメルヴィルの大ファンでして、インタビュー集の「サムライ」にはいささか物足りなさを感じていました。それが、最近「映画伝説ジャン=ピエール・メルヴィル」(フィルムアート社)という本が出ているのを知って、さっそくアマゾンで入手、一気に読みました。
    これは面白い本です。メルヴィルが撮影所を貸し出して賃貸収入を得ていたとか、本名ではユダヤ人だとすぐわかるのでメルヴィルに改名したとか……ああ、そうだったのか、という記述が満載でした。よろしかったら、読んでみてください。お勧め本です。

    • >メルヴィル大好きさん
      はじめまして。
      オススメの「映画伝説ジャン=ピエール・メルヴィル」もちろん読みました。最近はレビューを怠けてまして取り上げていないのですが、良い本ですよね。著者のメルヴィル好きが伝わってきます。色んなところでへぇーと感心しました。
      関連して、第二次大戦時のフランスレジスタンスについての本を読みましたが、レジスタンスの実像は一般の映画で取り上げられているのとはちがってもっと複雑らしい。本格的に活動していた人間は少なくて、戦争の終わりに参加したにわかレジスタンスも多いとか。その意味では『影の軍隊』などは実像に近いのではないでしょうか。メルヴィル映画のストイックな世界観には、そのあたりの体験が大きいのではと思っています。

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