映画本-て, 本-て

テレビドラマ 伝説の時代


「田宮二郎、壮絶 」の作者は、田宮二郎の作品以外にも多くのテレビドラマをプロデュースしている。これはテレビドラマの現場に集った監督、役者の食うか食われるかというガチンコで良いものを作り上げようとした姿と時代を描いている。
なかでも最も印象に残ったのは、成田空港開港のときに作られた「大空港」のエピソードだ。当初予定していた成田でのロケは、過激派が空港管制塔を占拠した事件のために許可が下りなくなり、制作現場は混乱した。それでも初回を受け持った井上梅次は、映画で培った製作技術を駆使して、どう見ても空港で撮影したとしか思えないように見せた。しかし、試写を観たプロデューサーは、井上の作った回は、初回にしてはスケール感が無いので、既に撮り終えていた舛田利雄の派手なアクションがある回を初回に繰り上げることを決定した。
そのことを聞いた井上梅次は、自分の苦労が報われずに、新東宝時代の彼が育てた後輩に輝かしい初回の座を奪われることを知り、撮影現場から去る。このあと井上を探し出した作者との、カツドウヤのプライドを賭けたやりとりが泣けるエピソードになっています。合理的で職人気質としか思っていなかった井上梅次の別の顔が見えた気がしました。
彼らの本気さが、テレビドラマを面白くわくわくしたものにさせたのだなと改めて思います。

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