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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

デヴィッド・フィンチャーの新作映画。
今回も『ゾディアック』に引き続いて、トムソン・ヴァイパーのデジタルカメラで撮影しています。なので、画質も前作に引き続き、デジタルな感じがしています。やはり暗部に弱い、というかディテールが出ていないし、コントラストが激しい、昼間のシーンも、ハイライト部分がぶっ飛んでいる。
劇中いくつかのスローモーション・シーンがあるが、これはフィルムで撮っている(トムソン・ヴァイパーのカメラではスローモーションができないためだろう)。明らかにこちらでは暗部のディテールが出ている。注意して観るとそのちがいがわかります。

まあ、次からはREDを使うからそのあたりは、解消しているでしょうね。

物語は、これがアカデミー賞候補なのか…、ですね。小説ならばいいですよ。テーマも要素も全部満遍なく入っているから。でも映画にする場合には、もっとストーリーのうねりが必要だと思います。ストーリーだけじゃなくて、演出も含めてだけど。シーンで起こることも紋切調で人物の行動も予定通りなので、「ああ、ここで泣いてくださいだな」とか「これくらいの性愛シーンだろうな」という期待通りのテンションと展開が繰り広げられます。しかもワンシーンの中で安易なオーヴァーラップするなよ。いつの時代の手法だよと云いたくなります。
なにはともあれ、映画の温度が低いのは、最初から最後まで、ベンジャミンが自分の運命を受け入れ過ぎているから、ドラマが起きない。だからこちらも傍観者で感情移入ができないのです。唯一物語を進めるのが、人物ではなく時間の均等割り付けなのです。そういう映画なんだなと思います。
結局、一番おもしろかったのは、戦闘シーンの描写。Uボートとの死闘のところでは、烈し過ぎて、思わず弾を避けようとしました。フィンチャーの本領はやはりこちらですねぇ、きっと。

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