本-ま

マフィアと官僚―犯罪大国ロシアの実像

ロシアン・マフィアは突然ソビエト崩壊後に現れたのではない。もともと共産主義の時代にもヤクザのような集団はいた。地元の顔役という古風な倫理観に基づく存在だ。

しかしソビエトが消え去り混沌とした時代が訪れると、事態は一変する。そこで台頭してきたのは、もともと権益を持っていた共産党官僚たちだった。彼らは自分たちの受け持っていた人民の資産を自分の名義に書き換えたり、あるいは売却したりして、富を蓄えていく。極端な言い方をすると、警察官が泥棒になったようなものだ。または倉庫の管理人が倉庫の品物を自分のモノとして売り払う、このようなことが平気で行われた。いわば官僚マフィアの誕生だ。

一時期のロシアがマフィア経済によって支配されていた(いる?)のはこのような背景があったからだ。それまで国家運営の中心にいた官僚たちが一夜にして、ギャングになったということだ。

持てる者たちは、暴力を借りて、その富を守り増やす。弱肉強食の時代。一部の高級官僚は持てるだけ資産を隠して新しい時代に備えた。腐敗を一掃すると息巻いたエリツィンも結局は、彼らのなかに取り込まれてしまった。

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