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マルホランド・ドライブ

マルホランド・ドライブ

 MULHOLLAND DRIVE 02デヴィッド・リンチ (DVD)

  リンチももういいと言いながら観ちゃうんだよねえ。『ロスト・ハイウェイ』はひとりコスプレだと思ったが、今回は露骨な 夢オチ。みんな他人の夢の話を聞いてて面白いかぁ。手塚治虫はマンガには夢オチは禁じ手と言っていたが、まさに 今回はそれだなあ、ハナシがどう転がってもいいんだもん。作っている方は楽だろう。彼の場合はその夢が面白いのと その語り口が秀逸なので許されているのだが。まあここに現代美術、抽象芸術との関係を持ってくるのは野暮というも んだとは思いますがね。

夢なんでどこで終っても良いといえば身も蓋もありませんがそんな感じ。ところどころに分岐 点があって、こうなると悪夢だよなという方へと流れて行く。その意 味じゃ80年代前半の筒井康隆の作品群に似てい る。まあ夢だからいいじゃんが、面白くできているので それはそれで芸というものだけども危ういよね。ひとネタギャグと 同じでそれが古い!とみんなが思っ た瞬間に整理されて無かったことにされてしまう可能性がある。『ツインピークス』 なんてそうだよね え、乱獲消費という感じ。細かい部分は凡百の類似品よりは全然楽しいのだが、パターンが見えちゃ う というか、表現が過剰にはならない人だから観ている方がいつか冷めてしまう。職人芸の難しさです な。

  と言いな がらもリンチの本性は職人芸でも芸術肌でもないと思うんだけど。なにいかといわれるとテレビ・ウォッチャーだと思 う。発想の基本がそこから来ていて決して映画のカタチに拘泥してはいないんじゃないだろうか。似たようなテイストとし てタランティーノと三池崇史が思いつく。彼らも細部に こだわりながらも時々トンでもないやり方でストーリーの語り口を 変えてくることを平気でやる。通常映画で重要とされる繋がり(コンティニュティ)とすっ飛ばす手法を大胆に使うんだよ ね。これはテレビでCMが開けると全然別のシーンになってまたストーリーを進める手法(まあ安易な転換と言う場合 も 多いが)で、それで30分とか60分番組にするのは映画とは違う語り口になるのだけど、その自由さを積極的に取り入れ ているのが上記の彼らだと思う。テレビを観なれた我々にはその辺りに付いて行くこ とがそれほど難しくないのは馴れ ているからで、でもなんとなく物足りなく感じるのは「映画にしては」という思いがどこかにあるからだろうか。この現実の 緩用でイメージを作り上げる節約手法は『ブルー・ベルベット』以来のものですが、いざとなれば『エレファントマン』のよう に普通の演出もできるので心配はしてませんが、画家のように突然スタイルを変えるかもしれないので、その辺りにも 興味があります。

(角田)

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