映画-etc, a Diary: 日記

新しいインディーズ映画の製作方法『サーチャーズ2.0』

『レポマン』(84)、『シド・アンド・ナンシー』(86)、日本のテレビシリーズ『探偵濱マイク』の最終(02)などを手がけてたイギリスのオフビートでパンクな映画監督、アレックス・コックス。彼の新作『サーチャーズ2.0』は、のサイトalexcox.comで資金集めを呼びかけて製作された。

出資の条件は、“俺(アレックス・コックス)の代りにテリー・ギリアムを起用しないこと”“キャストとクルーは全員が同じ給与をもらい、利益の一部をともに分け合う” だった(コックスは、『ラスベガスをやっつけろ』(98)を監督するつもりでシナリオを書き上げたが、プロデューサーが、「イギリス人にアメリカは描けない」と云って、監督はテリー・ギリアムになった)

これに呼応したのが、引退していたプロデューサー、ジョン・デイビソンだ。彼はポール・ヴァーホーヴェンと組んで、『ロボコップ』(87)『スター・シップ・トゥルーパーズ』(97)を製作していた。さらにデイビソンは、古くからの知り合いに声を掛けた。そしてエグゼクティブ・プロデューサーになったのがアメリカのB級映画の帝王、ロジャー・コーマンだ。

DV.comに載っている写真を見ると、まさに低予算映画。撮影日数は15日間。しかもカメラが、HDVビデオカメラSONY HVR-Z1U というのでは学生映画と変わらないのではないか。

アレックス・コックスは語る。

CanonHDVカメラ A1を試し撮りに使ったけど、インチキ24p、要するにNTSC29.97フレームだったというミスをしてしまった。
撮影では、三台の
HVR-Z1を使い、PALフォーマット50iで行った。スチル写真はデジカメのLumix DMC-LX2で撮った。録音技師は、私たちがなにをしようとしていたか、あらかじめ知っていたら仕事を下りていたと、撮影が終わったあとにプロデューサーに話したという。

編集は、Macのラップトップを使い、アプリケーションはAvid Xpress Pro Seagate社製のハードディスクは死んだけど、 OWC社と G-Tech社は信頼性を証明した。
仕上げのオンライン作業は、元サイエントロジー教団の本部だった
ビルにあるKappa Studioで、Avid Nitris.を使った。オペレータは色調整はAvid Xpress Pro96%の互換性があると語った。 ただ、アウトプットがうまくいかなかった。

次回は、FCPかオープンソースのCinelerraを使いたいという。HVR-Z1は簡単に使えて、監督にとっては理想的だ。撮影監督にとってはそうじゃないけど。大きなSONY VX-1000みたいなもので、16:9フォーマットに対応している。使うときには、フレームの端がわかる”all scan mode”を選択して欲しい。(alexcox.comより)


SONY HVR-Z1U メーカーサイト

Kappa Studio ポストプロ・スタジオ

Avid Nitris メーカーサイト (Avid Xpress Proは販売終了したようです)

Cinelerra公式サイト

Linuxで動作するノンリニアビデオ編集ソフト「Cinelerra」 Gigazine2006年7月9日


撮影監督のスティーヴン・ファイアバーグによると、

PanasonicHVX200は良い点がたくさんあるカメラだが、P2カード方式のためにまちがって録画したファイルを消してしまう、というリスクをプロデューサーが恐れて使うことを許可しなかった。カメラはイメージのクオリティからではなく、ポストプロダクションの都合から選ばれた。

私はHRV-Z1を使いたくなかったのだが、仕上がったものを見て考えを改めた。露出を決めるのに、通常はスキントーンに合わせて、70%ゼブラを使うが、私は白飛び寸前で出来る限り明るくなるように105%にセットした。

ローアングルが多く、空がたくさん入るので、ただ白く写らないようにした。偏光フィルターには助けられた。12月だったので、太陽は低く、一日じゅう光は美しかった。

Searchers 2.0: A Western State of Mind DV.com(スティーヴン・ファイアバーグへのインタビュー)

http://www.dv.com/articlefeatures/15720

サーチャーズ”といえば、ジョン・フォードの 『捜索者』(’58)を意識しているはずだ。でもへそ曲がりなアレックス・コックスのことだから、<ジャンル映画への偏愛>=マカロニ・ウェスタン風味になっているのではないだろうか。

「映像作家は伝えるべきストーリーのためにジャンルを利用することが出来る。僕が関心を持っているのは我々欧米の文化が資源を巡り資源大国と交戦状態に 入っているということなんだ。それが契機でアメリカはイラク戦争を起こし、現地に居座ってしまった。だからそういった主題の映画をハリウッドで作ることは 不可能だ。だから問題を議論できるようなストーリーをある<ジャンル>の中で描くことにした。ジャンル映画ならそういった表現も許される。観客を楽しませ ている限り、少々の政治的メッセージや議論は許されるんだ」

1/10公開 18日まで

一週間の公開って…Vシネかよ!(あっVシネだ!)

「サーチャーズ2.0」公式サイト 日本語版 英語版

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