映画本-え

映画監督 舛田利雄 

Hotwax責任編集 映画監督・舛田利雄~アクション映画の巨星 舛田利雄のすべて~Hotwax責任編集 映画監督・舛田利雄~アクション映画の巨星 舛田利雄のすべて~

私、舛田利雄のスカッとする、時には大雑把なアクション映画大好きです。なんといっても安心して楽しめる。

この本を読むと、監督の作品は、日活アクション以降の、アクション映画、男性映画、戦争映画、SFアニメ、アイドル、と娯楽大作映画の流れを作ったことがよくわかる。わかりやすく云うと、彼は70年代後半の“前売りチケット鑑賞券”システムを最大限生かすことができた監督として記憶されるのではないだろうか(全然わかりやすくないかな)。いま娯楽大作を作るとき、そのフォーマットから逃れることはできないだろう。

舛田利雄は、新東宝に入社したときに井上梅次について助監督時代を過ごした。そのあと同時期に日活に移ったという。一時期は井上邸に下宿していた。

なるほど二人の骨太の多作家はここで繋がるのか。この二人の特長には、シナリオが書けるという点がある。

舛田 それから井上さんのお宅に住みながら、何本かシナリオの下書きをしたんだけど。タイプが違うというか、合理主義の井上梅さんとは、根本的に違うんだなぁと思った。ホンの作り方がまるで違うんだよ。

そのときは、なんとなく面白くないな、と思いながら下書きをしていたんです。でもそのあとで、日活で娯楽映画ばかり撮らされるじゃない。その時に、梅さんの下書きをして身に付いたものが、すごく役に立つことになった。

―――井上梅次流の娯楽映画話法ですね。

舛田 そうなんだ。つまり、梅さんは物語を人間で追ったりなんかしないんだよ。物語の面白さを追求する。見せ場、見せ場を設定してね。それを繋いで行く。やはり娯楽映画というのは、そういう要素が絶対必要だね。ケレンの面白さというのかな。いかに観客を飽きさせないか。そういうテクニックを持っている人です。

なるほど、だからハリウッド映画だからと云っても臆することなく、『トラ・トラ・トラ』をいつもの通りに作り上げることができたのか。

日活のオールスターアクション『花と竜』(62年)が仁侠映画の元祖で、その翌年に東映で『人生劇場 飛車角』が作られ任侠ブームが到来した、というのを初めて知った。そーなんだ。日活の仁侠映画は亜流じゃなくて本家なんだ。渡哲也のアウトローなキャラを確立させたのもこの人。

またマンネリ化したヒーロー像に飽きていた裕次郎と示し合わせて、日活映画でタブーとされていた、主人公、裕次郎を殺したこともある。 その後、石原プロモーション製作の時代劇を何本か撮る。さいとうたかをの『影狩り』とか観たいね。

映画界に入る前に、シナリオを勉強していた頃の仲間だった脚本家、池上金男とのコンビの話も面白い。裕次郎の『赤い波止場』は脚本が池田一朗で『望郷』をベースにしたのに対し、リメイク版の『紅の波止場』は渡哲也で、池上金男、ベースは『勝手にしやがれ』だ。

井上梅次が撮った裕次郎の『嵐を呼ぶ男』を渡でリメイクしたときの挿話も楽しい。井上梅次の歌詞には必ず“借金取り”が入るというのには笑った。

節操なく撮っているようにみえるが、どれもこれも必ず印象に残る作品になっている。インタビューを読むと、好戦、反戦、宗教その他をも取り込んでしまう、娯楽映画というキャンバスの広さを自在に使いこなす、職人舛田利雄の世界が見えてきます。

小難しい映画批評的な細かい本ではなく、予算のある映画の王道と戦後の時代の生き証人として、映画監督の面白いインタビュー本 としてオススメします。

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