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極道恐怖大劇場 牛頭

極道恐怖大劇場 牛頭

三池崇史

(DVD)

間違いなく現在の日本映画において新進気鋭であり、芸術娯楽職人芸においても最も面白く実力がある監督のはずなのに、「刑事祭り」にも「jam Film」にも呼ばれず、流行りのアイドルが出るJホラーからも距離を置かれていた(柴崎コウで撮るらしいが、R指定にならないだろうかちょっと心配?)三池崇史が生み出した、ヤクザホラー自主Vシネマ(コメディ)。

いままでは「日本映画のテポドンミサイル」や「ひとりプログラムピクチャー」のマイナーな枠で納まっていたが、この作品で、何も知らないマスコミだけでもてはやされる「世界から注目される日本映画がオシャレで新しい」みたいなことを、すべてを徹底的に破壊して、同時にそのすべての要素を取り入れてしまった滅茶苦茶な作品。だって、ヤクザ+ホラー+自主(友情出演による豪華キャストで低予算)+Vシネマ、だよ。昨今のガイジン向けのあざとい賞取り用に製作される日本映画を尻目に、なぜかVシネ初のカンヌ行きという映画以上に不可解な事態となり、いまや三池は「ひとり現代日本映画界」になってしまった。

色々書きたいことあるけど、とにかく観て!DVDは、監督とシナリオの佐藤佐吉のオーディオコメンタリーが充実していて、映倫との闘いや名古屋の謎の製作裏話、三池演出や考え方がわかってお得。ちょっとしたメイキングもあり。成人指定ではなくR-15なので、自主映画少年少女には深刻に考えなくとも、なにやっても映画などはできると大笑いできて、元気が湧いてくるので是非に。

既に三池はシナリオを捩じ伏せる演出を会得したように思える。どんなものが来てもさっと撮り上げていく様は、漫画家の一番脂の乗りきったときに、毎週の連載にどんどん書いていくような感じに近い。完成して一作通しての中身としては、それほど面白くなくても各シーンがものすごく充実していて印象に残り、それが集まって成立している力強さがある。

観終わった者だけで語り合いたいですね。あー、エンディングの唄がアタマン中でループする…。

この映画の世界観について高尚な色んな例えや言葉が出てくるだろうけど、でもこれは絶対にレッツラゴンなどの最盛期の赤塚不二夫なーのだ!(断言)

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