映画-こ

極道黒社会 レイニードッグ

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 97 三池崇史(ビデオ)

 黒社会第2弾。 雨が降っている。狭い路地に重なるように連なっている家の瓦を伝って流れ落ちる南方の雨。台北に一人残されたヤクザ、哀川翔は、雨の日には外に出ない。しばらくの間、逃げてきた台北にいつまでいるのか分からない。何でここにいるのかも分からなくなる。(何故か追ってきた刺客とメシを食ったりする)。街の顔役の仕事で殺しをすることもある。

 路地を抜け、市場の喧噪の暗がりを延々と抜け、白昼の元で銃殺する。エドワード・ヤンのカメラマンの李以須の明暗を計算し尽くした撮影が素晴らしい。 しかし、何と言っても、ほとんど全編を覆う南方の雨が素晴らしい。

 どこにも行き着くところがないヤクザ、「アンタの子よ」と押しつけられた捨て犬のような男の子。「この街が嫌い」と言い続ける娼婦。それぞれを雨が止めどもなく憂鬱にさせる。

 ここでも三池監督は、感情の押しつけはせず、淡々とアップもほとんどなく状況としてシーンを成立させていく。タイル貼りの床の冷たさ。貧民街の立ちこめる生活の匂いが立ちこめてくる。候孝賢やエドワード・ヤンとも違う、台湾を描くことに成功している。 哀川翔の白づくめのコート姿が素晴らしく眩しい。格好良いのだ、ただひとつ残されたダンディズムとして決して脱がない。これが、彼の台湾に対するスタンスだと思う。蛇足ながら、メシを食うシーンが良い、旨そうだ。

 思わぬ大金を手に入れた彼らの逃避行は、どう考えても成功しそうもないものだった。しかし、途中で海岸に埋まっていたバイクを掘り出し、海岸を疾走するときの解放感は何だろう。望郷の念とは違う、突き抜けた絶望とアナーキーさがそこには存在するような気がする。哀川翔の代表作と言っても良いんじゃないか。必見。

 (角田)

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